第1章

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シャッシャッシャッ。 ウェアの摩擦音が、静かな朝に響く。 「はー、まだ寒いなー。」 白い息が口もとから、出ていく。 引っ越したばかりで、周りは新鮮な景色が目にうつる。まあ、辺りは山ばかりなんだが。 でも、結(ゆう)にとっては、心地よい景色でわるくなかった。 いつもは、30分のジョギングの日課だったが、慣れない道が不安となり、早めに折り返すことにした。 家の前の急な坂道が見えて、そこからスピードを上げていき、全力で登りきった。 ハァ、ハァッハァ 「さすがにこの坂は、しんどいか。」 顔をあげると、祖父の茂が立っていた。 結「うん。でも、いい練習になるよ。」 息が詰まるのを我慢して、話した。 茂「まあ、そのうち慣れるじゃろうて。朝飯が出来とるから、息が整ったら入ってきい。」 結「うん。」
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