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もう生徒たちはこの場を離れ、畳の上に血の跡が点々と残るだけだった。開いたままの鉄の扉の向こうから、東園寺彩子(さいこ)がひとりでやってきた。ミニスカートの裾(すそ)さばきが美しかった。サイコも複数の格闘技のエキスパートである。素質はカザンより上だと、教官たちから高い評価を受けていると聞いたことがある。
「タツオ、ちょっと話があるの。きてくれないかな、お願い」
いつもなら高飛車(たかびしゃ)に用があるから、顔を貸せと呼びつけるはずだった。サイコの顔から血の気が失せていた。柔らかそうな頬(ほお)は細かな血管が透けて見えるほど蒼白だ。
タツオは相撲部・後藤との激戦の結果あちこちが痛む身体で、足を引きずりながら先を立って滑るように進むサイコのあとをついていった。
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