90(続き)

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 テルがいった。 「どちらにしても敵とは異次元の速力で、戦闘を制圧してしまうのは同じだ。近衛四家というのは化物(ばけもの)ぞろいなんだな」  このままクラス内選手権で勝ち進めば、いつかカザンと当たることだろう。五王(ごおう)龍起(たつおき)とカザンは相撲部の生徒に、タツオに大怪我をさせろと指令を出していた。カザンが先ほどの冬獅郎の試合のように鼻を折るだけで満足するとは思えなかった。どうすればいいのだろうか。あの男と闘わずに済ませることはできないだろう。こちらがどこに逃げても、カザンは追ってくるはずだ。タツオは幼い頃のあこがれで、コンプレックスの原因だ。 「ぼくは音感と視覚的なリズムによる強制催眠について、戻ったら調べてみる。『呑龍』はやばい。あれをくらえば、タツオもぼくも危険だ」  クニが恐るおそる質問した。 「危険って、どれくらい危険なんだよ?」  ジョージが肩をすくめた。
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