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「いらっしゃいませー」 元気な店員の声を聞きながら居酒屋へ入った 平日だからかまだ客は少ないようだ それでも席はところどころ埋まっていて時間が過ぎれば満席になりそうな感じではあるが 席に案内されて向かいに2人を座らせる どうも隣に誰かが座るのは落ち着かないから1人がいい メニューを広げながら何を食べるかはしゃぐ2人を眺めながらタバコに火をつけた 「まずは生飲むでしょ?」 「当たり前じゃん!みゆは?」 そんな問いかけに私も生で、と答えた デンモクをスカルプのついた指で器用に操作する亜希に感心する その横から百合は、焼き鳥!たこわさ!枝豆!と合いの手のように言って注文を促す 亜希がおっさんかよ、なんて言いながらもそれも器用に注文していく いいコンビだな、なんて内心笑いながらタバコを消した 「そういえばみゆ彼氏出来たの?」 注文をし終えたのか亜希がデンモクを置いて楽しそうに聞いてきた 百合も興味有り気に視線を投げかけてくる 「いや、いないよ。気になる人とかもいないし。毎日さみしいよ。」 自嘲気味に言うと亜希がえー!と大きなリアクションをとった 恋バナというものが大好きな2人だからこういう話題が上がるのは分かっていたものの、何もネタがないのが少し申し訳ない でも仕方がない どうも好きな人というものが出来ないのだから 恋なんてものは確か中学生の頃以来していなくて忘れてしまった かといって何の経験もないのかと聞かれたらそれは違うのだけれど
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