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タバコの火を消すと次はあみが吸い出したからケータイをいじりながら待つ
でもやはり左手が手持ち無沙汰であるからもう一本それに手を伸ばした
あみが黒のドレスから着替えているのを横目に煙を吐き出す
ケータイの画面には大量の通知
どれもこれも白髪の男や脂ぎった男、お金を持った偉そうな男ばかりからだ
新しいケータイ契約しようか、そんな男からばかり連絡が入ってて鬱陶しい
そんなことを考えながらそのアプリを閉じた
「そういえば明日の一限の授業休講だって。」
あみがそんな嬉しいことをさらりと言う
「え、ほんとに?やった、明日一限だけだったし一日寝てよ」
「休みの日こそでかけなよー、出会い落ちてるかもしんないよー?」
苦笑いしながらあみが言った
あみとは大学に入学してから出会ってよく話すようになった仲である
大学1回生の夏頃から2人してこのアルバイトを始めた
単なる旅行資金集めが理由である
やっぱり働くなら高時給の方がいい、それに能力の分だけ自分に返ってくるのはとても魅力的だ
同じ働くなら合理的にしなければ、
それはつまり自分を好いてくれた男から金を巻き上げなければ、と同じことになることに目を背けて
「出会いなんか今はいらないかなー。」
マイナス思考の言葉にあみは眉をひそめる
「そんな悲しいこと言うー。みゆ狙ってる人結構多いよ。あたしが入ってるサークルの先輩とか。」
「ほんと?紹介してよ」
「言ってることバラバラじゃん」
あみがタバコを消したから左手にあるそれを灰皿に押し付けた
そして二人して笑いながら控え室を出た
さて、帰って早く寝よう
そんなことを考えながら黒服の車に乗り込んだ
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