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リュウ・榊は目の前で繰り広げられている光景に少々戸惑い、頭の中はクエスチョンマークで一杯になっていた。
目の前で繰り広げられている光景とは、この惑星セフィーロの遺跡に呼ばれて来たという銀河一の歌姫、エティア・ハーツと共に来た五月カンナが、やっと会えたというやはり呼ばれて来たであろう歌姫クレア・チャンとの再会を喜び、彼女を抱き締めている光景である。
「良かった、本当に無事で良かった」
「あ、あの、カンナくん、もう大丈夫だから」
照れて顔を真っ赤にしながら必死に言うクレアの声が耳に入らないのか、そのすぐ背後にエティアが居るにも関わらず、身体を放そうとしない。
エティアというと、クレアとの再会を喜んでいるのだろうが、カンナの行動が面白くないのか、今まで見たこともないほどの仏頂面である。
最も、リュウ自身彼らとの付き合いはまだ日も浅く、それほど多くの表情を見てきた訳ではないのだが、今のエティアの顔はメディアなどで見ていた物には決してないものである。
リュウはまじまじと三人を見て、何となくだが関係に整理をつけようとした。
「なぁ、アイカ。あの様子だと、クレアちゃんもカンナに惚れてるのか?」
「そうみたい。モテモテね、カンナ」
隣のアイカに尋ねると、自分の考えに同意の返事が返ってきて、リュウは小さくため息を吐いた。
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