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「ふーん、カンナはシュルクが苦手なのかしら」
アイカが楽しそうに二人のやり取りを見ているので、リュウは踵を返すとみんなに背を向けた。
「どうしたの?」
「疲れたから少し部屋で休む」
「大丈夫?」
「ああ、後のことよろしく」
アイカはこの支社の責任者としてクレアたちを受け入れると決めた以上、敵の状況などの確認もしなくてはならないし、何よりこれからのことも決めなくてはならない。
「あのシュルクのVF見るにしても、ある程度話済ませてからにしろよ」
VFのことになると目の色が変わるアイカにリュウが先に釘を差し、そのまま格納庫を後にした。
通路を歩きながら、リュウは心の奥がざわざわと落ち着かない感じがして、なぜか苛立っていた。
苛立ちの理由が分からなくて、またそれに苛立つ。
ため息を一つ吐くと、ちょうど反対側からカンナが一人歩いてくるのが見えた。
「あれ、リュウ。調子悪いって聞いたけど大丈夫なのか?」
「ああ、大したことない」
「それより、こんな所でどうしたんだ?」
カンナが疑問に思うのも無理はない。
一足先に部屋に戻ったはずのリュウが、全く違う場所を歩いていたのだから。
「道間違っちゃってさ。恥ずかしいからみんなには言うなよ」
リュウの答えに、カンナが笑って頷いた。
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