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「みんなは?」
「エティアは部屋に戻ったみたいだし、クレアは念のためメディカルチェック受けるのにアイカと医務室かな」
カンナの口からクレアの名が出てきて、先程の格納庫での出来事がリュウの脳裏を過った。
「そのクレアちゃんとの関係って?」
「クレア?友達だよ」
エティアの時と違い、あっさりと答えるカンナにまたリュウの心が落ち着かない。
「随分と心配してたみたいだし、何かあるのかなって思ったんだけど」
「離ればなれになって状況が分からなかったから心配だったのと、あいつ、前にバジュラに襲われたことあってさ。それを助けるために初めてバルキリーに乗って。それからクレアのことは絶対に守るって決めてるんだ」
カンナの話を聞いて、フラッシュバックのように妹の亡骸を抱きながら怒りに震える親友の後ろ姿が浮かんでは消えた。
「カンナ、もうちょっと周りを見る目を持った方が良いと思うぞ」
「何だよ、それ」
すぐ後ろでエティアが怒っていたことを、本当に気付いていなかったらしい。
カンナの琥珀色の瞳を見て、リュウはやっと心が落ち着かない理由を見つけた。
純粋な程に真っ直ぐ前だけを見る彼は、今はとても遠くに行ってしまった親友によく似ているのだ。
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