第一章

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この家の生活にも慣れてしまったけど、今思えば、もっともっと人間らしい生き方をしてみたかった。今日で18になるが、これまで「あれがしたい」「これがしたい」というワガママは、通用しなかった。……することが許されなかったと言った方が正しいのかもしれないのだけれど。 「終わりましたよ」 「いつもありがとう」 「いえ、これが私の仕事ですから」 カトレアはにこにこと微笑みながら部屋を出ていった。カトレアがといてくれた髪に触れてみた。腰まで伸びた髪は、さらさらとしている。 実を言うと、手入れが大変な長い髪は少々嫌いで、いつか首のあたりまでバッサリと切ってみたいと思っていた。カトレアやほかの何人かのメイドがそのくらいの長さだったため、憧れていたのかもしれない。
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