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第四話 二つの影
男がこの部屋を出て行って暫くした時の事だった。
ガシャンと大きな音を立てて扉の開く音が聞こえる。
その音に怯える様に身を竦ませ、次第に近付いて来る気配に意識を集中させた。
「茜様……お迎えに参りました」
その若い男の声と共に、クスクスと嘲笑う様な吐息が聞こえる。
そっと顔を上げその声の主へと視線を移すと、そこには……二つの人影が見えた。
黒いスーツに身を包んだ少年と、黒いメイド服に身を包んだ少女。
二人の顔はまるで作られた人形の様に整っていて……そして似ていた。
私と同じ年ぐらいに見えるが、彼等の纏う異様な雰囲気に思わずグッと息を呑む。
「だ、誰なの?」
その怯える私の問いに、二人は妖艶な笑みを浮かべる。
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