第四話 二つの影

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「ふざけないで!!貴女達は異常だわ!!こんな事をして赦されると……」 「赦されますよ。ここではどんな法律も通用しない」 私の言葉を遮って少年はそう言うと、とても甘美な笑みを浮かべた。 「今暴れるのは得策ではないでしょう。そんな恰好で逃げ出す御積りですか?」 その少年の言葉に……今にも飛び出しそうだった罵声をゴクリと呑み込んだ。 「貴女のお部屋に服を用意しています。それを着てから話を聞いても遅くはないのでは?」 少女のその言葉に少し考えた末……小さく頷く。 「賢明な方だ。その方が《ここ》では……楽になれる」 そう言って少年は少女と目を合わせると、クスクスと自嘲気味に笑った。 「さぁ……参りましょうか。夢現(ゆめうつつ)の幻想郷……夢幻楼(ムゲンロウ)へ」 二人の声が重なり、それに促される様に歩き出す。 ……夢幻楼。 彼等の言ったその言葉を反芻したままそっと扉を抜けると、バタンと大きな音を立てて扉が閉められる。 その音はまるで、今まで平穏だった日常に別れを告げられた様に聞こえると同時に……これから起こる過酷な運命を嘲笑うかの様に、いつまでも繰り返し私の耳に響き続けた。
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