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「ここは夢幻楼。……この国最大の娼館です」
「……しょう……かん?」
私の震える問いに、二人はコクリと頷き甘美な笑みを浮かべる。
「どんな罪も赦される夢の楽園。政府高官、警察幹部……様々な重鎮達の力により隔絶された夢の世界。そしてここが……今日から貴女の暮らす場所です」
そう言って少女がクスクスと笑ったその時、ガチャリと扉の開く音が聞こえた。
するとその部屋から一人の男が姿を現す。
「おや?これはレイ君とルイちゃん。珍しいな君達に会えるなんて」
そう言ってスーツ姿の男はニッコリと眩しい笑みを浮かべる。
とても整った顔で爽やかな笑みを浮かべる男は……まだ若く見える。
……二十代後半ぐらいだろうか。
「黒咲(クロサキ)様……お久しぶりですね。今日はもうお帰りですか?」
少年のその問いに男はポリポリと指で頬を掻くと、困った様に笑った。
「ああ……もう使えなくなってしまったんでね」
そう言って男はとても残忍な笑みを浮かべる。
その笑みは酷く私の心をざわめかせ、男から離れる様に一歩後ずさった。
「お手柔らかにお願い致します。黒咲様に耐えられる商品は中々見つからないのですから」
少女がそう言って妖艶な笑みを浮かべると、男は「ごめん、ごめん」と言ってヘラヘラと笑った。
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