第五話 夢幻の館

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「俺は自分が酷い男だと分かってるつもりだが……彼ほどに残酷な男を知らない。飽きられるのを待つしかないな」 男は小さく手を上げると、そのまま私に背を向け歩いて行く。 「……まぁ、その頃には壊れてしまっているだろうけどね」 そう言って男はクスクスと笑いながら、長い廊下の先へと消えて行った。 「……狂ってる。……この場所も……貴方達も」 そう小さく呟くと、双子はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。 「ここではそれが最大の褒め言葉ですよ。ここには《普通》の人間など一人もいないのですから。《普通》でいようとすればするほど堕ちていく。それがこの夢の世界の常識。……ねぇ、レイ?」 「そうだね……ルイ」 少女の問いに少年は小さく頷いて返すと、二人はクスクスと笑い続ける。 その耳障りな嘲笑と共に、これから襲い来る残酷な未来が頭を過り……体に巻き付けた毛布をただ強く抱き締め続けた。
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