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「……な……に……これ」
ありえない状況に小さく声を漏らし、必死に手足を動かす。
しかし腕はガッチリと固定され、数センチ動かすのがやっとの状況だった。
そして両足首も同じ様に拘束されている事を感覚的に理解する。
「……な、なんなの!?」
悲鳴の様な声を漏らしながらガチャガチャと手足を動かすが、それは無駄な努力に終わった。
「……どうして、どうして!!」
異常な事態にパニックを起こしかけた頭がグワングワンと酷く痛み、呼吸がゼイゼイと荒くなる。
『何故』と言う問い掛けが何度も何度も繰り返し頭の中を廻り、不安と焦りと恐怖に体中から冷たい汗が噴き出る。
「……誰か!!」
そう叫び、居る筈も無い誰かに助けを求めようとしたその瞬間……おかしな感触がした。
暗い部屋の中央にポツンと一人寝かされる私の体には、一枚の毛布が掛けられている。
その毛布は湧き出る冷たい汗を吸い、酷く気持ち悪い。
しかしその毛布の感触が、いつも自分の布団で眠る時とは違う、奇妙な感触がした。
……肌にピットリと吸いつく様な感触。
……まるで……裸の……
その時初めて、自分が服を着ていない事に気が付いた。
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