第六話 伝う指先

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第六話 伝う指先

「こちらが茜様のお部屋になります」 そう言って少年が扉を開き、私に部屋に入る様に促す。 それに抵抗する事無く部屋に足を踏み入れると、キョロキョロと部屋の中を見回した。 まず目に入ったのは、部屋の中央に置かれている大きなベッドだった。 薄い天蓋が天井から吊るされたそのベッドは……何故かとても淫靡な雰囲気を醸し出している様に感じる。 ここがこの国最大の娼館と聞いたせいかもしれない。 他には黒いソファーとローテーブル。 それから小さな棚に、クローゼット。 そして部屋の奥に白い扉が見えた。
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