第一話 冷たい涙

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「いやぁああ!!」 言い表せない恐怖が体を支配し、甲高い悲鳴を上げながら動くはずもない手足をバタつかせる。 ……助けて!助けて!助けて!! 心の中で必死に助けを求め続ける。 警察でも他人でも神様でも誰でもよかった。 ……誰でもいい!誰かここから救い出して!! しかしいくら待っても助けが現れる事は無かった。 拘束された手足がすり切れヒリヒリと痛む。 一向に理解できない状況に体を震わせながらポロポロと涙を零し、襲い来る不安と恐怖を堪える。 「……誰か……」 そう小さく擦れた声で呟いたその時、ガシャンと大きな音を立てて……扉が開く音が聞こえた。 ビクッと身を竦め怯えたまま視線を移すと……そこには一人の男が立っていた。 少し色素の薄い髪のその男は私をジッと見つめると、少し自嘲気味に笑って静かにこちらに歩いてくる。 ……声は出せなかった。 何故なら彼は私を助けに来た救世主ではないからだ。 ……彼の歪んだ瞳にそれを確信する。 彼こそ私をこの恐るべき場所へと招待した張本人。
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