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第三話 記の旋律
「やめて!!やめてよ!!」
そう声を荒げバタバタと暴れる。
しかし私に覆い被さる様に男は私に体を押し付け、私の動きを封じた。
微かな甘い香りと人の温もりに、混乱した私の頭がガンガンと酷く痛んだ。
私の必死の抵抗は何の意味もなさず、男は私の首筋にそっと舌を這わせる。
その不快な感触にビクリと身を強張らせると、男は私の反応を楽しむ様にクスリと吐息を漏らした。
「大人しくしていれば、少しくらいは優しくしてやってもいいんだけど?」
男はそう言って歪んだ笑みを浮かべ私を見つめる。
「ふざけないで!!最低!!変態!!放してよ!!」
男を侮蔑の瞳で睨みつけると、男は可笑しそうにクスクスと笑った。
「今まではそうやって誰かに命じれば、お前の願いは全て叶ってきただろう?でも残念ながら……ここではそれは通用しない」
男はそう言うと、凍り付く様に冷たい瞳で私を見つめた。
その冷たい瞳に見竦められる様に、体にグッと力が入る。
「あいつ……片瀬浩之の最高傑作。そのお前をこの手で堕とせるなんて……考えただけでもゾクゾクするな」
男はそう言うと、ボロボロと伝い落ちる私の涙を舌で拭った。
その熱い舌は私の頬を伝い、首筋……それから胸元へと下りて行く。
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