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第一話 冷たい涙
カチャンと金属の擦れる音で目を覚ました。
そっと目を開くと、オレンジ色の淡く弱々しい光を放つ電球が見える。
その電球がポツリと寂しげに天井から吊下げられ、どこからか吹いてくる微かな風でゆらゆらと揺れていた。
……ここは?
揺れる電球を見つめたまま、まだ覚束無い思考を働かせる。
……私……どうしてこんな所に?
そのふと浮かび上がった疑問と共に起き上ろうとするが……それは無駄な行為に終わった。
カシャンと金属音が響き、手足に奇妙な感覚を覚える。
首を捻ってそっと視線を手首に移すと、そこには黒い革のベルトと銀色に光るチェーンで固定された自分の腕が見えた。
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