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慌てて鞄を確認するとやはり譜面が入っていない。
しまった。
あれがないと…あれから10分程しかたっていない。雪さん、まだいるかな。
そう思った僕はスタジオへとUターンした。地下への階段は電気が消えていた。ゆっくりと階段を降りてドアを開ける。
鍵はしまっていなかった。ホッとした僕はスタジオに入ると雪さんの姿を探した。
ぼそぼそと話し声が聞こえる。あれ?雪さんの他に誰かいるのか?
いつもの部屋の扉をゆっくりと開けるとソファーに雪さんが座っていた。背中を向けている彼女は僕には気づいていない。
『だから…』
少しだけ彼女が声を荒げる。
どうやら電話しているみたいだ。でも雪さんの声の感じは今まで聞いたことのないものだった。
『言いにくいなら私から言ってもいいわよ。別れましょう』
え?
彼女が発した言葉に僕の思考が止まった。
『私は仕事を優先する。それはきっとこれからも変わらない。だから、もう…』
彼女が言葉を止めて、携帯に目を向けた。相手が電話を切ったのか…
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