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『手を…』
放せってことか?
『放したら雪さん逃げちゃうから…』
冗談っぽく言って彼女の手を強く握ると雪さんは黙ってしまった。
図星だったのかな?また寂しさが僕を襲う。
二人で手を繋いで歩いていると街並みを飾るイルミネーションがキラキラと輝いていた。
『綺麗だね…』
『え?』
『街が輝いてる』
そう言って驚いた。僕はどんなに街がクリスマス色に染まっても、綺麗だなんて感じたことはなかった。なのに、僕は今このイルミネーションが綺麗だと思った。
今まではモノクロのクリスマスだったはずなのに…
僕は雪さんに目を向けた。雪さんはイルミネーションに目をやって、そっと微笑むと
『クリスマスですから…』
そう言った彼女の笑顔は本当に可愛くて…
また心臓の鼓動が速くなっていく。
『やっぱりアツシさんは表現が素敵ですね』
『…』
キザだよな…こんなこと女性に恥ずかしげもなく言う男だと思われただろうか…
こんな言葉を掛けたのは、雪さんが初めてなのに。
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