第1章

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『アツシ、今年はどうするんだ?』 不意にかけられた言葉に顔を上げると、ヒロさんが微笑んでいた。 そっか、もうそんな季節か… 毎年、この質問をされると年の瀬が近づいてきているんだなと感じる。そして、年末には恋人たちの一大イベントであるクリスマスがあって…いや、別に恋人たちだけのイベントじゃないけど、まあ雰囲気的には盛り上がるよね。 『まだ予定はないですね』 僕が笑いながら答えるとヒロさんはまた優しく笑う。 『クリスマスに一人でスタジオにこもるくらいなら、うちのパーティーに来いよ』 ヒロさんはそう言って僕の肩をぽんと叩くと部屋から出ていった。 『俺んち来てもいいぞ!』 僕の肩を抱くようにマキさんにも言われて、僕は困ったように笑う。 みんな、分かってて誘ってくれてる。それは理解しているけど、素直に行きますと言えないのは性格かな。
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