第1章

4/13
前へ
/54ページ
次へ
僕はタクシーを捕まえるとスタジオに向かった。今回アルバムの製作でこもっていたスタジオがあって、そのオーナーに挨拶に行くつもりでいた。 アルバムは完成したけど来年から始動するEXILEの第四章…そしてソロとしての楽曲製作のために、またスタジオを使わせてもらうことになっている。 今回のアルバム製作、本当に集中できた。スタジオの雰囲気が良かったのか、いつも以上に気持ちが入っていた気がする。 以前からよく使っているスタジオのはずなのに、まるで初めてのスタジオのように感じた。本当に不思議だった。 タクシーが目的地に到着し、車を降りるとスタジオへの入り口へと足を進める。地下にあるスタジオの扉を開けるとオーナーの葛西さんが僕に気づいた。 『アツシくん!』 嬉しそうに笑いながら僕に近づいてくる葛西さんは僕の隣に来ると今まで以上に相好を崩す。 『アルバム完成と発売おめでとう!聴かせてもらったけど最高の出来だったよ!』 『ありがとうございます』 葛西さんはスタジオのオーナーをしているだけあって、いろんなアーティストの歌をその耳で聴いてきた人だ。そんな人に褒められて嬉しくないわけがない。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加