第十七話 負の欠片

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「茜はもう覚えていないかな?彼は昔、家で働いていた夫婦の子供だったんだよ。小さい頃、茜は彼にベッタリでね。本当に仲が良かった」 父は遠い昔を思い出す様に少し遠くを見つめたまま語る。 ……家で働いていた夫婦。 その父の言葉に、昔の記憶が過る。 そう……確かに居たはず。 父の側近でもあり、同じ大学に通っていた親友でもある須藤さんと、とても綺麗な奥さんの香織(かおり)さん。 それから二人の一人息子で、いつも優しかった……颯太くん。 彼等は私の家に住み込みで働いていた。 ……どうして……今まで忘れていたのだろうか。
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