第二十三話 妖しき闇

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「私はご忠告しましたよ。後で後悔されても私はもう知りません」 そう言ってルイは少し不機嫌そうに呟くと、冷たい瞳で少女を見つめた。 「貴女……名前は?」 「リ、リイサです」 そのルイの問いに少女は緊張した様に表情を硬くしたまま、震える声で名前を答える。 「それではリイサ。不本意ながら今日から貴女を茜様付きの侍女に任命します。命を救って頂いた恩を忘れず、茜様の為に尽くしなさい」 「は、はい!!」 ルイのその言葉に少女は緊張したまま、大きく返事を返した。 「茜様は隼人様の愛玩物だ。もしも茜様に何かあった場合、全ての責任は君に取ってもらう事になる。決して愚かな考えを起こさない様に。もしも最悪な事態になった場合、死ぬよりも辛い残酷な日々を君に過ごして貰う事になる。……分かったね?」 「は、はい」 レイのその言葉にやはり少女は緊張しながら返事を返すと、それからそっと私を見つめた。 その彼女の視線にそっと笑みを返すと、彼女の幼さの残る円らな黒い瞳が……禍々しく妖しい闇を纏った様な気がした。
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