第二十四話 宵の誘い

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「レイ様とルイ様は今日もお忙しいみたいですね。特に今日は夜光会(やこうかい)があるそうですし」 「夜光会?」 「この夢幻楼の上客を御持て成しする会だそうです。定期的に開かれているらしいのですが……私は階級が低い身分なので詳しい事は分かりません。ただ上流階級しか入れない特別な集まりだそうです」 リイサの説明に小さく頷いて返すと、そっと紅茶を口にする。 ……彼も……そこに居るのだろうか。 不意にそんな考えが頭に浮かんだ。 結局あれから彼に会う事は無かった。 私に真実を告げた彼は、やはり私を避けている様だった。 これから一体どうなるのか。 それを誰に聞いても……返って来るのは《分かりません》の一言だけ。 「どうなるのかな……これから」 そう小さく呟いた、その時だった。 私の目の前に座るリイサが、何かに驚いた様にハッと目を見開いた。 その彼女の視線は私の後ろに注がれ、それから少し緊張した様にゴクリと息を呑んだのが分かる。 その彼女の視線を辿る様にそっと後ろを振り返ると、そこには冷たい人形の様な顔をした眼鏡の男が立っていた。
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