45人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
第二十七話 運命の夜
夜光会の会場を出て真っ直ぐに部屋へと戻る。
まるで逃げる様に、スタスタと早足で自分の部屋へと向かった。
その間もさっき交わした男の言葉が、温もりが……そしてあの悲しい瞳が脳裏に浮かぶ。
《今日……お前の部屋に行ってもいいか?》
あの男の問いが頭の中に響き、それを振り払う様に唇を噛み締めたその瞬間、自分の部屋の前に辿り着いた。
レイが開いた扉を抜けると、部屋で待っていたリイサがニッコリと笑みを浮かべる。
「おかえりなさいませ」
そう言ってリイサは私に走り寄って来る。
「申し訳ございません。私達はまだ仕事が残っているので、これで失礼します。リイサ……後は頼んだわ」
「はい、お任せ下さい」
ルイの言葉にリイサは深く頷いて頭を下げると、ルイは微かに眉を顰めて静かに顔を背けた。
「今日はお疲れでしょう。ゆっくりお休みになられて下さい」
双子はそう言って頭を下げると、静かに部屋を出て行った。
「さぁ、お着替えを」
そう言ってリイサは私のドレスに手を掛けると、手際良くそれを脱がしていった。
そして用意されていた服に着替えると、大きな溜息と共にソファーに腰を下ろす。
「随分お疲れの様ですね?何か……お辛い事でもあったのですか?」
元気のない私の姿を見て、リイサは心配そうに私の様子を窺っている。
「……ちょっと……ね」
そう小さく呟いて答えると、リイサは何か考える様に俯き、それから私の目の前にそっと膝を付いた。
最初のコメントを投稿しよう!