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第三十話 罪の代償
「こちらです」
そう言って榊原さんが示した真っ赤な扉を見つめる。
暗く長い廊下の果てにあるこの扉の先からは、禍々しく不穏な気配を感じる気がした。
私の本能がこの扉を開けてはいけないと訴えるが、どうやらそれは叶わない様だった。
私が手を触れるまでも無く扉は静かに開かれ、そして……見えた光景に声を失った。
「……いやぁああああっ!!」
突然耳に響いたその悲鳴にビクリと身を竦める。
それとほぼ同時にヒュンと風を切る音と不気味な打音が聞こえた。
「あぁあああっ!!」
悲痛な叫びが響き、その声の主をただ茫然と見つめ続ける。
壁も床も全てが不気味な赤で彩られたその部屋の中に、一人の女が吊るされていた。
一糸纏わぬその体には数え切れないほどの赤い線が見え、そこから血が滲み彼女の白い肌を伝い落ちて行く。
天井から垂らされた荒縄に両腕を吊られ、フラフラと揺れる体には休む事無く鞭が振り下ろされる。
鞭が彼女の白い肌を引き裂くと同時に甲高い悲鳴が部屋に響き、彼女の涙の溢れる瞳が恐怖と絶望で見開かれた。
その彼女の目の前には銀色の仮面を付けた男の姿が見える。
黒く長い一本鞭を手にし、黒一色の服を身に纏ったその仮面の男は、まるで心を持たない人形の様に鞭を振り上げては振り下ろす動作をただ延々と繰り返し続けていた。
「……リ……イサ」
そう彼女の名を震える声で呼ぶと、彼女の恐怖に見開かれた瞳が私に向けられる。
「……あ……かね……さま」
リイサは擦れた声で私の名を呼ぶと、ボロボロと涙を零し私を見つめ続けた。
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