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第一章七話
魔法。
そのありふれた単語は多くの人を魅了してやまない。
あらゆる自然法則をねじまげ世界に奇蹟を起こす現象は、神さえ欺く力とも言われている。
そして魔法を使える者を魔法使いと呼ぶ。
空気中に漂う『マナ』と呼ばれる物質を体内に取り込み、『魔力回路』と呼ばれる血液に溶け込んだ管を通して、世界に現出させる。
系統は火、水、風、土の四種類。
火は人を暖め、万物を焼き尽くす。
水は人を癒すが、心を狂わせる事も可能だ。
風は天候を操り、自然に干渉する。
土は植物に恩恵を与えるが、地震を招く。
基本的に魔法使いは一系統に秀でるが、中には四系統全てを操れる者もごくまれにいる。
それが君の〝レプリカ〟というクラスだ――
姫希は保健室のベッドの上で、クラスメイトから自身の不思議な力についての説明を受けていた。
彼は姫希が起きるまで横で椅子に座りながら待っていたようだ。
目を覚ますと、優しい口調と眼差しで「おはよう」と言われた。
誰だろう、と考えていると先程まで一緒に授業を受けていたクラスメイトだという事に気付いた。
……今朝方、自分の奇妙な力で傷つけた相手だという事も。
滔々と説明を続ける彼に、姫希はふわふわとした気分で聞いていた。
頭に血が上っていて、地に足が着いていない。
……初めて自分の奇妙な力が発生した時と同じ状態だった。
「――で、ざっと魔法使いの説明したんだけど、分かってもらえた、かな……?」
姫希はぼんやりとした眼差しで彼を見やった。
正直、あまり話についていけてない。
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