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差し出された袋を覗くと、クッキーが入っていた。
「よかったら、二人で食べて?」
「ありがとうございます。」
「コーヒーいれたげよっか?」
「はい!」
咲田さんは、にこにこしながら給湯室へ向かった。
「有村さんは、コーヒーはお好きですか?」
「はい。
…あ…実は…。」
少し目を伏せて、
「苦いので、あまり得意じゃないんです。
…あの、もしかして山田さんは、コーヒー好きですか?」
「好きです。
…でも、どうして?」
有村さんは、納得がいったと言わんばかりの表情で、嬉しそうに笑った。
「中田さんが、差し入れをくださる時は、いつもブラックコーヒーなんです。
でも中田さんは、甘いのも飲んでいるので、自分が好きだからってわけでもないのかなぁ…って、不思議だったんです。」
「…え…っと?」
「山田さんがコーヒー好きだからなんですね。」
そこでどう繋がるのか、イマイチわからないけれど、咲田さんは笑いながらコーヒーと共に給湯室から出てきた。
「中田は、山田さんのことばっかりだからね。
甘いのにしてって、言った方がいいよ?」
「そ、そんなことは、言えません!」
「私、言っておくよ!
ほんと、気が利かないんだから。」
咲田さんは、私たちの前にコーヒーを置いてくれた。
「ありがとうございます。」
「いただきます。」
「コーヒーのお砂糖ありましたよね?」
「はい、どうぞ。」
咲田さんはお盆に乗った、小さな器を差し出した。
茶色のお砂糖が入っている。
「ありがとうございます。
有村さん、よかったら使って下さい。」
「ありがとうございます。」
ニコリと微笑む姿もキレイだなぁ。
クッキーも、分けて食べる。
甘すぎなくて、食べやすい。
「おいしいです!」
「良かった。」
こんなにのんびりしていいのだろうか、と思った頃に中田が戻ってきた。
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