1人が本棚に入れています
本棚に追加
そこにはいつもお世話になっている商店街の肉屋のおばちゃんがいた。
「あら、そうなの……、そうねぇー彰吾ちゃんならこれ、いる?」
そう言うと肉屋のおばちゃんが今日の日替わりの卵を彰吾に差し出している。
「え!? 良いんですか!?」
「いいのよ。これお一人様一点でしょ? 今日娘が来れなくなって、卵を店員さんに返そうと思ってたから。はい」
「あ、ありがとうございます……!!」
「いいのよ! もう、彰吾ちゃんはいつもウチで買ってくれるからね! これくらいはもう安いもんよ!」
「だって! おばちゃんの肉屋のコロッケうまいんだもん!」
「ありがとうね、今度なんかあげるわ。それじゃ、彰吾ちゃん自炊しなくちゃだからおばさんはこの辺でね」
そう言いながら肉屋のおばちゃんはまたね、と言ってその場を去った。
何と素晴らしいタイミング。
彰吾は買い物カゴに貰った卵を入れ、他のコーナーに向かった。
そして、買い物が無事終了。少し後に俊も買い物を済ませ一緒に帰宅をする。
いや、本当にラッキーだった、卵が手に入らないと落ち込んでいる所に救世主が現れたもんだ。
そんなことを思っている彰吾だった。
帰宅している最中にスーパーであったことを俊に話すと、「へぇ?そりゃあ、ラッキーだったな」といわれた。
「あ!」
突然俊が立ち止まり言い出す。
「なんだ? どうした?」
「ごめん、今から銀行行っていいか? 今日夜に荷物届くんだよ」
「別に良いけど、何買ったんだ?」
「妹は何処(いずこ)へのDVDをな」
「あぁ、なるほど」
俊はアニオタだ、特に『妹は何処へ』はかなりのオタ。
去年の2057年の四月に放送されたブラコンアニメ。
妹は常に兄の視界からいなくなり、兄に自分がどこいるのか探させるという何とも良く分からないアニメ。
しかし、これが爆発的ヒットを起こした。
どうやら、探させる間に兄の部屋にもぐり込み禁断の領域まで行きそうになるらしく、兄はそれを何とか堪えて妹を受け流していく。これがハマッたらしい。
そして、『妹は何処へ?それはあなたの心?』と二期までやった。初めてタイトルを聞いた時にイラッとした彰吾。
彰吾は俊に強く押され、最終的には俊が彰吾の家に来て一期を全26話を見せられた。
そのせいで、妹は何処へは分かる。
一応二期も見た彰吾だった。
そんなことを思っていると銀行に着く、彰吾と俊はそのまま入り。
最初のコメントを投稿しよう!