変わりゆく日常

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 周りも断った理由が聞きたいらしく、真剣な眼差しで爆弾師(ボマー)を見る。 「え、だって。人の名前を呼ばない人とは付き合いたくはありませんから」  真っ当な、誰も言い返せない、誰もが黙る、ぐうの音も出ない、ぐう正論を爆弾師(ボマー)は発言した。  それを聞いた瞬間女子から「確かに」「うわ、ないわ?」「人の名前ぐらい覚えろサル」  確かにその通りである。さすがに、サルは言いすぎだが。  これはさすがの男子全員が岡野から顔を逸らす。  当然、彰吾と俊も含まれている。 「では、お名前を!!」  岡野が言うと、またまた辺りは沈黙する。それはそうだろう、ここの生徒は爆弾師(ボマー)爆弾師(ボマー)としか呼ばれているのしか知らない。  だからこそ、ここにいる全員が彼女の爆弾師(ボマー)の本名を知りたかった。  爆弾師は《ボマー》は少しため息をつき、少し間を空け、 「東堂(とうどう)沙由利(さゆり)です。では、私はこれで」  爆弾師(ボマー)は東堂沙由莉と名乗り、その場を去る。  沙由莉の名前を聞いた生徒達、東堂沙由莉。  それが爆弾師(ボマー)の、東堂沙由莉と言う名前だ。  名前を知り、数分後チャイムが鳴る。  そのチャイムを聞き、彰吾と俊は思い出す。 「あ、昼飯……」 「あ……」  そして、次の授業をお腹を空かせながら授業を受ける事になった。  全ての授業を終え放課後、やっとの思いで食べる事になった昼御飯。  彰吾と俊は放課後も開いている食堂に行き、お昼御飯を食べている。 「それにしても……、あんな理由で来るとはね……」 「何が?」 「東堂沙由莉、爆弾師(ボマー)の事だよ」  食べ物を口に含んだ状態で彰吾に話を掛けてくる。  ハムスターやリスの様に頬がパンパンの状態で。 「ラブレターの用件だけで……来るなんて……いい子だよな」 「……、いや、多分、あれは……」 「ん? なんだ?」  あの反応を見る限り、間違いないだろうと思う彰吾。 「多分だけど、東堂は手紙の事をラブレターだと思ってない」 「へ? それは……ないだろう」 「いや、東堂はラブレターを手紙と言ったからな」 「それは……ラブレターだと言わないで……遠まわしに言ったんだろ?」  そう、そうだと彰吾も最初は思ったのだが。
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