変わりゆく日常編 

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 線路が一つしかない為、この先で起きることは、彰吾は容易く想像できた。 「ぶつかる……――クッ!!」  彰吾は人ごみのなか、車掌の居るところまで行こうとする。 「すみません! 通してください!」  彰吾は人ごみの中車掌のところに向かう。俊も一緒に車掌のところに向かっていた。  このままじゃ、まずい。この電車の方が圧倒的に速いし車両もある。  隣で走っている快速とぶつかってしまう。 うまく前に進めない状態で苦戦していると後ろから押された。 なんだと思い後ろを振り返ると、人が前にいる俺たちの居る車両に来ていた。 「ぶつかるぞー!!」「前にいけよ!!」「邪魔なんだよ!!」  そういいながら人がどんどん俺たちのいる車両を埋めていく。人が増えすぎて、前に進めなくなった彰吾と俊。  まずいと思った瞬間、その時が来てしまった。  後ろからガシャーン!!!!と大きな音を立て、車体が揺れる。ぶつかってしまった。  この各停は全部で10車両に対して快特は8車両だった。  ぶつかったときに後ろの車両が倒れ、残り8車両となった。  そして残った車両内は、衝突した衝撃で車内にいる人達が倒れていた。  彰吾と俊は人と人の間にいたおかげでなんとか人がクッションとなった。  だが、人がクッションとなる事は誰かが押しつぶされる事となる。  彰吾は人が倒れていて、静かな状況の今が車掌のところに向かうのは今しかない。  人の上を通る、申し訳ない気持ちでいっぱいの中、彰吾は車掌のいる車両に着いた。  車掌のいるところに着き、窓を叩き車掌を呼ぶ。  返事がなく、窓から中を見ると車掌が倒れていた。  彰吾は窓を割り、扉の鍵を開けて車掌のところに行く。 「起きてください!! 車掌さん!」 「うッ……」  頭から血を流していて腕がおかしい方向に曲がっている。  折れている、だが、彰吾は安堵の息をついた。  車掌が生きているなら、レクチャーを受けながらこの電車を止めることが出来る。死んでいたらそれが出来なかった。  ちょっと後に俊がやってきた。 「彰吾、どうする……?」 「とめるしかないだろう」 「マジかよ、運転できんのか?」 「いや……、車掌にレクチャーしてもらいながらやる。俊、衝撃波(バースト)の準備をしてくれ」 「……、頼むぞ」 「ああ」  俊は隣でいつでも能力を使える様に構えている、彰吾は車掌を起こす。
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