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「さっさと事故っちゃってよ。ンフフフ……アッハッハッハッハ!!」
彰吾は車掌さんにブレーキを任せ、俊と一緒に電車の止めに入った。
「彰吾、何か策はあるのか?」
「あるっちゃある、だが」
「だが?」
「出来るかわからない」
「なら、平気だ」
「は?」
「お前はそういう時ミスはしない、俺が保障する」
「フッ……、あーそうかよ。なら、やるさ…」
彰吾の策は自身の能力、重力の事だ。
彰吾は能力で相手に負荷を掛ける事は出来るがそれ以外が全く出来ない。
本来なら重力は重力制御が可能としている能力。
『地球は上からの重力で物が落ちる。だが、俺の能力ならその重力のベクトルを上じゃなく、正面にする事が出来るはずなんだ』
電車の前に重力をかければ重力により、電車は減速していくだろう。
そこに俊の衝撃波を加えれば完全に電車はとまる。
そう思っている彰吾だった。
彰吾は上からの重力を掛けるのではなく、正面に重力をかけようとしていた。
『くそ! 上からじゃない! 前だ! ゆっくりだ! ゆっくりと前にもってこい!!』
思うようにいかない彰吾、能力を使っていく内に頭に頭痛が走る。
「クッ……!」
頭痛が激しくなっていく、しかし彰吾は何とか重力を前に持っていこうしている。
『くッ……そ! イメージは床式のエスカレータだ! そうだ、良いぞ……、そのまま下がれ』
そして、重力が少しづつ正面に向きつつある中。
「彰吾!! 最後の駅を通過したぞ!! 5分で終点だ!!」
まさかの事態、まだ下がりきっていない状態でこれはまずいと思う彰吾。
彰吾は焦りで、重力制御がうまく行かなくなってきた。
『クソクソクソ!! 下がれよ! 下がれよ!!』
そう思っていると、突然過去の事を思い出した。
小さい頃、人を吹き飛ばしたことを思い出す。
「は?」
「どうした!!」
「いや、何でもない……」
「急げよ!」
俊に「ああ」と答え、また集中する。
だが、意味が分からなかった。
何故、俺は今更になって小さい時の記憶を思い出した? 小さい頃の記憶なんて一切覚えて無いのに。
訳が分からないが、彰吾は思い出した記憶と共に感覚を思い出し、正面に重力を掛けることに成功する。
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