変わりゆく日常編 

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「立っているのも何ですから、お座りください」  二人は沙由莉に言われるがまま、椅子に座る。沙由莉も座る。 「さて、お話でもしましょう。この日を楽しみにしてました」 「そ、そうか」 「俺はずっと楽しみにしてまいた!」 「ありがとうございます」  沙由莉は笑いながら言う。本当に楽しみだったのだろうと思う彰吾。 「そうですね、お二方はどちらでお会いしたのですか?」 「俺と俊は高一の入学式のときに」 「なるほど、そのまま仲良くなったと言う事ですか」 「まぁ、そうなるな」  彰吾と沙由莉が話す。それを横目で見ている俊。 いや、話したいなら話せよ……と思う彰吾。 「東堂さんはいつからこの学園に?」 「そうね、私は――」 「中一からよ」  突然、テラスの入り口から女性の声が聞こえた。  三人は入り口の方を見るとそこにいたのは。 「工能……」 「ハロ~沙由莉~」 「く、工能って……」 「雷光(ライトニング)……」  沙由莉が心底嫌そうな顔をしているのに対し、彰吾と俊はSランク能力者の工能の存在に驚いている。  久能凛花(くのうりんか)、能力は電気系統全般。  通称、雷光(ライトニング)と呼ばれている。  電気を扱う物は全て扱うことが可能。電気という事があって磁力操作も可能としている。  能力自体もしっかりと彰吾と俊は把握仕切れていない。  ちなみに見た目は黒髪のポニーテールでボンキュッボンの女性。 「突然話に入ってくるのは困るのだけど……、凛花」 「そう? でも、面白そうだから私も混ぜて?」  などと言っている凛花。それを嫌そうな顔をしながら見る沙由莉。 「ほら、私のお茶は別に後ででもいいから。今は二人に出してあげなよ」  テラスの入り口に肩を寄せて、テーブルに置いてあるカップに指を指す凛花。  はぁ……とため息をつき、保温していたカバーを取り、カップに注いであったお湯を別の容器に入れて紅茶を淹れた。  紅茶を注がれると同時にさわやかな香りがした。 「とりあえず、天月さんと宮下さん。どうぞ。今から作るから待ってて……」  彰吾と俊に紅茶を出すと沙由莉は横目で凛花の方を見て言う。凛花は笑いながら片手で手を振る。  沙由莉は新しいカップを用意し、先ほどと同じカップにお湯を入れた。 「話がそれてしまったのだけど、私も参加していいかしら?」  と凛花がいう。
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