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「もう、参加する気でしょ? もう、いいですよ」
「ありがと」
満面の笑みで沙由莉に答える凛花。沙由莉の隣の席に座り、彰吾と俊を見る。
「話は聞いてたから、続きを話しましょうか。ね、沙由莉」
「はぁ……、あんまり話さないでね?」
沙由莉はあきらめ、話を続けることにした。
「中学一年生からこの学園にいます。その前は、小学校に通ってたのですが」
「私と沙由莉は幼馴染なの」
「あ、そうなんですか」
「そうなの~」
ムフフーと笑う凛花。凛花の隣で睨む沙由莉と彰吾を睨む俊。
いや、だから話せば良いだろってのに…と思う彰吾。
「あ、俊さんと彰吾さんは中学と小学校はどうでした?」
「俺は、中学の時はこれと言って楽しいことはなかったなー、小学校なんて自由気ままにやってたからな、彰吾」
「まぁな、それなりに過ごしてたよ」
「そうですか、良かったです。あ、お二方ご両親は?」
沙由莉が両親の話を持ち出した瞬間、あたりが静まった。
俊が苦そうな顔をしている。
「え、えーと俺は普通の親だよ?」
「そ、そうですか……、彰吾さんは……?」
「いないよ」
「え?」
「俺には親がいない」
きっぱりと彰吾が言った。俊はあちゃーと顔に手を当てているのに対し、凛花はテーブルにひじを付き顔を隠している。
俊が彰吾の肩を叩き呼ぶ、凛花は沙由莉の肘のすそを軽く引っ張り呼ぶ。
『おま! 少しはそういうのなんかかわせよ!』
『いやだって、ごまかしで答えたら後で面倒になるじゃんか』
『少し濁す形で言えば俺が何とかしてやるから! いいな』
俊と彰吾は小言で言う、話が終わり正面を向く。
沙由莉を後ろに向かせた凛花。
『あなたは何であの空気で聞くの!? 明らかにOUTでしょ!』
『ご、ごめん……』
『私もフォローするし彼、気にしてないと思うから他の話振りなよ?』
『はい……』
そして、沙由莉と凛花は彰吾と俊の方へ振り返った。
「コイツ確かに親がいないんですけど、今は楽しいんで大丈夫です」
俊が彰吾に親指を指しながら言う。
「今が楽しいと言うのはいいことですよね」
凛花が俊に続いて言う。
「そうですよね! 彰吾さんは小さい頃何をしてたんですか?」
「おぼえてない」
また、あたりが静まる。また、俊と凛花が隣にいる彰吾、沙由莉を後ろに向かせる。
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