変わりゆく日常編 

7/16
前へ
/16ページ
次へ
『おまえさ、アホなの?』 『正直に答えただけだ』 『こういう所抜けてるのはヤバイぞ』 『す、すまん』  沙由莉もまた、先ほどと同じように後ろに向かされている。 『なぁんで、親がいない話をした後にそういう話をするの!?』 『だ、大丈夫かと思った……』 『大丈夫なわけないでしょ、親がいないんだから小さい頃なんてOUTでしょうが』 『ご、ごめんなさい』  そして凛花、俊は振り返ると凛花と目が合う。 「「えへへへー」」  笑ってしまった。笑うとすぐにまた振り返る。 『どーしてくれんの!?』 『どーしてくれんですか!?』 『いや、俺に言われても……』 『いや、私に言われても……』  ほぼ四人とも同じ反応をしていた。 『『とりあえず、何とか話をそらそう』』  四人とも一緒に振り返る。だが、振り返っても一言も話さなかった。  時間だけが過ぎていく、ゴーンと4女のチャイム(鐘)が鳴る。 「あ、紅茶もういいかな」 「え? 何が?」 「紅茶もうできてるから、淹れるね」 そういうと沙由莉はお湯の入っていたカップのお湯を別の容器に入れ、凛花のカップに紅茶を注いだ。  また、いい香りがあたりを覆う。 「やっぱり、いい香りだ……。でも、何だろう…この香りは…」 「では、この香りは何でしょうか?」 フフンと言いながら沙由莉は彰吾に問題を出す。  彰吾はこの香りをどこかで嗅いでいる。 何だろう……、何処かで嗅いでいるはず……。日常的に嗅いでいる匂いだと思うな……。  彰吾は紅茶と日本茶が好きでよく専門店に行き、茶葉を買っている。  その中で自分なりのブレンドをしたりして楽しんでいる。  まずは、この花の香り的なのはラベンダーだ。  だが、後にやってくるほんのり甘く、酸っぱい匂いは何だ……? 彰吾はラベンダーの後に来る匂いの元が分からない。  フルーツ系だとは彰吾は分かったいた。  果物で甘くて酸っぱいヤツ、桃、グレープフルーツ、パイナップル……。 「あ、分かったと思う」 「え!? 本当ですか!?」 「ん、まぁ……、自身無いけど。ラベンダーとパイン?」 「正解です……! 正解ですッ!!」  テーブルに手をつけ、乗り上げながら彰吾に言う。  それほどまでにうれしかったのかと思う彰吾。 「本当に分かる人がいてうれしいです!」  満面の笑みで彰吾に言う、それを横目に見ている俊。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加