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「いい加減にしろ。気安く友也って呼び捨てにするな」
腕をぐっと持ち上げられて、テーブルに千円札がバンッと叩きつけられて睨まれる。
「え、え、え? ちょ」
「友也さん、帰るよ」
「おい、待てよ。誤解っ! 章弘、違うって。章弘っ」
友也は羽織ったカーディガンを伸ばされる勢いで引っ張られて、縋るように腕を絡めた。
「……あきひろ……?」
皓貴の呟きが聞こえたが友也はそれどころじゃなかった。
臍を曲げた眞田のお仕置きは、至極意地悪で、友也が泣いても許してもらえない。
「皓貴、じゃあなっ。鷹森、俺はなんともないからな! お幸せにっ」
振り返り言う友也に眞田が引き寄せていった。
「何が好きだと聞かせてくれだ」
眞田は酷く憤慨して人目も気にせずに友也の腰に腕を回してショッピングビルを下りていく。
「───…章弘」
か細く名前を呼べば車の鍵と一緒に友也の部屋の鍵が音を立てた。
「友也さん、俺が死ぬほど好きって聞かせてやるから覚悟してくださいよ」
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