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普段から鷹森の浮気を疑うほど熱をあげている皓貴が、鷹森を試したがっていたのは休憩所でよく聞いていた。確かに小動物のようでもあって可愛がりがありそうなのは認めると友也も思った。
「今さら後悔しても遅いが……もし、もう一度やり直せるなら友也をもっとちゃんと大事にしてやるべきだったと思うよ」
二階の喫茶で四人でコーヒーを飲みながら皓貴が友也にいきなり告げた。
(ああ、これか)
眞田が友也を心配するのと同様、鷹森も皓貴がいつ元サヤに戻りたがるのかと気がきじゃないらしいことは聞いている。
「皓貴。もう一度好きって聞かせてくれるか」
友也も調子に乗って神妙な顔で皓貴に告げた。
コーヒーを置いて向かい合わせに座る鷹森がおろおろと顔を見合わせているのが見える。
「友也、すきだよ」
友也は驚愕に見開かれる鷹森の顔を見て内心でほくそ笑んだ。
「ありがと。もう平気。なんとも感じな───…!」
言いかけてすぐに眞田が膝でテーブルの下を蹴った。
好きだと聞かされてもなんとも思わないと言って完結させるつもりが、隣に座る眞田をすっかり忘れていた。
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