2、決意

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 あのフィッシュベッドの名を言わなければ、ロシア兵に目をつけられず、母は殺されずに済んだかもしれない。  渚はずっとそんなことを考えては、二度寝しようと寝返りをうった。  もちろん、渚はその考えがいっぱいになって一睡も寝付けなかった。  いつもの朝なら、一階から母の声で目を覚ますと、焼けたトーストとコーヒーの匂いが漂い、渚は細い体をしなやかに曲げて跳ね起きて、元気よく階段を駆け降りる。  
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