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年末になるとどうしてこう、みんな、運転が荒くなんだよ。
って、さして交通ルールも守らなかった元クソガキの俺が言うのもなんだけど。
「マジ、間に合わねぇ」
そんでもって、なんで、このでかい道でギッチギチに車が渋滞している中
交差点でもない、道のど真ん中で、右折しようとすんだよ。
マジで意味がわかんねぇ。
普通に考えろよ。
空気読め。
つうか、邪魔。
だから、年末の配達って嫌いなんだよ。
この配達が終わったら、今日は盛大にパーティーなんだっつうの。
女の子入り乱れて、クリスマスイヴを楽しく過ごそうっていう。
そう、今日は、クリスマスイヴだ。
水曜なんて関係ない。
で、今夜はそのままお持ち帰りとか?
「チッ」
チラッと時計を見る。
見たところで、納入先の店までの時間がギリギリってことに変わりはない。
何度見たって、時間が短縮されるわけもない。逆にどんどんとタイムリミットが迫ってくるのがわかって、どうしようもないのに焦るだけだ。
あと、少しなのに
あともうふたつ信号を超えて、そこから抜け道使えばまだ、平気。
夕方のこの時間、真っ暗だから、あんまり抜け道を使いたくないけど
そんな余裕もない。
イライラしながら、ちびりちびりと進みつつ、何度か信号が青、黄色、赤、青、黄色、赤と変わっていくのを見送って、ようやく次の信号で、抜け道に入れる。
何台かが同じ、細道へと吸い込まれるように入っていく。
この道は生活道路だから、通り抜けはご遠慮ください、なんて書いてあったって、これだけ道が麻痺してたら、みんな、ガン無視だ。
「あ?」
知らないおっさんが、真っ暗闇の中、こっちに向かって手を振っている。
なんだ、あれ。
そんな感じに眺めると
車の中と、向こうと、目がばっちり合った。
そして、なんでか先を指差している。
はい?
そう思った時だった。
けたたましい笛の音がして、少し懐かしい。
そして、それがすぐに警察だってわかった。
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