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翌日。
曇ゆきが怪しい空の下、朝から登校して来た私は頭痛に悩まされながら生徒玄関へと到着する。
相変わらず私の靴の上には紙の切れ端が乗っていて、目を通す前にゴミ箱に放り投げた。
賑わう玄関で、靴を履いた私は生徒の間をすり抜けながら教室へと向かう。
しかし階段の踊り場で私を待ち受けていた人物が居た。
「おっせえんだよ」
腕を組む奇抜な女を先頭に、下手くそなメイクを施す顔触れが私を見下ろす。
痛む頭に顔を歪める私は、この状況に額に手を付いた。
「お前さ、昨日真守に抱き付いてたよね?
どういう事か説明してくれる?」
予鈴のチャイムが鳴り響く中、今は廃墟と化した第二校舎の裏側で私は威圧する女達に囲まれていた。
頭痛の上、吐き気さえ覚える私は返事を返す気になれず頭を項垂れさせる。
目の前のリーダー格はそんな私の頭を平手て叩いた。
「聞いてんだよ」
あぁ。もう。
何なんだろう。
私は今一人になりたいのに。
昨日の事を吹っ切れるはずなんて無いのに。
押し黙る私に嫌気を差した女は顔を顔にしながら私に向かって叫んだ。
「お前礼二にちょっかい出して置きながら他の男にも手出してんじゃねぇよ!!!
男好きにも程があんだろ!!!」
「…」
この人は礼二の事が好きなんだろう。
だけど振り向いて貰えず、偽りで彼の恋を応援して私を罵っているのか。
周りの人達も礼二や真守に想いを寄せているんだろう。
単純で馬鹿で臆病で、行動を興せずに気後れしてる癖に。
でしゃばっちゃって。
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