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朝に感じていた頭痛が激しくなった気がした。
それでも私の顔は綻び、真守だけを見つめる。
彼を前にすると他の事なんてどうでも良くなるんだ。
「…」
動画を停止した真守は遣る瀬なさそうに頭を抱え、足を揺らす。
私の元まで振動する揺れは、彼の心情そのものだろう。
ふっと笑いを溢した私は真守に近付いて、彼の額に一つキスを落とした。
「…一週間猶予をあげる
その間に全てを決めてね」
視線を下に向けたままだった真守を残し、私は部屋を後にした。
そして一階の女子トイレに入り、その場に泣き崩れた。
――苦しい。苦しい。苦しい。
でも。欲しい。欲しい。欲しい。
例え世界中の人間に嫌われても。
真守が欲しい。
お願い。もう一度私にチャンスをください。
同じ過ちは繰り返さないから。
―――…お願いします。神様。
「…っ」
吐き気に襲われた私はトイレに駆け寄り、便器を抱えながら汚物を吐き出した。
熱でもあるのか。
頭の裏がずんっと重く、顔を上げるのさえ辛い。
原因があるとすれば…昨日の事だろうか。
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