始まり。

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一週間後。 初めて真守から連絡が来た。 内容は、備品室に来い。 その一言だけだった。 私が素直にその場所へ向かうと、備品室の中で立ち尽くしていた彼は言った。 「お前と付き合う でも条件がある 一つは、付き合う期間はお前が卒業するまで もう一つは、キスもセックスもしない この条件を必ず守ると約束するなら、俺も承諾してやる」 まるで形だけの恋人。 だけどそれでも良かった。 私は頷く。 私が卒業するまでに、彼を本気にさせれば良いのだから。 「…よろしくね、真守」 外では荒々しい風が吹き付け、窓を揺らす。 折れそうな程に軋む木々は、痛みに嘆く。 世界は、私を追放しようとしているのか。 その日、私と真守は普通とは違う恋人となった。
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