簓。

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ロクにノートを取らず、呆然と座っていた私に、隣の礼二が小声で話しかけてきた。 「…駒栄、駒栄」 ハッと我に返って礼二を見ると、彼はルーズリーフの切れ端を渡してきた。 そこに書かれていたのは。 学校の掲示板を見ろ。 だった。 一度礼二に目を遣ると、どこか切なそうな瞳で彼は頷いた。 一体そこに何が書かれているのだろう? …友人が私を無視する理由がそこに書かれているのだろうか。 教師の目を盗んで携帯を開いた私は覚束ない指でブックマークから掲示板を開いた。 新着のスレットには、【駒栄奈津美から被害を受けた男達】の題名が写しだされている。 投稿者は、M・K。 内容はこれまで私が付き合ってきた人の名前と写真が延々と続いていた。 コメント欄には、最低、や、アバズレと言った罵声が飛び交っている。 その中には彼氏を奪われたと訴える人物まで。 「…大丈夫か? 俺は信じてないから」 私の見方だとでも言うのだろうか。 礼二は本当に優しいんだね。 笑顔を取り繕った私は、授業中の教室に声を張り上げた。
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