簓。

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指導部室に追いやられた私は、数人の教師に囲まれた。 問い質されたのは、先程の騒ぎの原因だった。 そんなの私に知る由はないし、聞くならアイツ等に聞けばいいのに。 腕を組んで一言も話さない私に痺れを切らした教師は、掲示板を検索し始めた。 そしてそこに書かれていることに目を通した教師は、驚愕した顔で言った。 「…末井先生とも付き合ってたのか?」 押し黙る私は焦りと苛立ちに足を揺らしていた。 投稿者M・k。 その人物を特定出来たからだった。 他の生徒からも事情を聞くと言った教師は、漸く私を開放した。 廊下に出た私を待ち構えていたのは、一人の男子生徒だった。 「…奈津美」 私の顔を見た瞬間に幸せそうな顔をしたその男は、ゆっくり近付いて来る。 先生。 貴方がいてくれたら、私はこんなにも荒んでいなかったでしょうか。 …先生。 会いたいよ。
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