曰(イワ)くつきの人事

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私が最初に勤務したのは長野市にある駅前の店舗だった。 三階建の建物で、一階が販売店舗、二階と三階が撮影スタジオになっていた。 カメラや写真の知識は皆無だったけど、 販売の経験が豊富だったことと、 運よく職場のメンバーとも相性が良かったことで、 仕事にはすぐに慣れた。 ただ一つ…… カメラに囲まれていることには どうしても馴染めなかったけれど。 派遣されて、十ヶ月ほどたった頃のことだった。 「安藤さん、なかなかやるな」 若い夫婦に一眼レフのカメラに交換レンズと三脚を合わせて販売し終えた直後、 私とお客さんを見送った店長が笑顔を見せた。 「安藤さん来てから売上上がったんじゃないかな」 「ホント。ホント。店も明るくなったしね。」 店長の言葉に、カウンターの奥で写真を現像していた別の社員が言った。 彼女はこの店舗に七年以上務める40代のベテラン社員だ。
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