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別に私は気に入られているわけではない。
視察の度に笑顔は見せてくれるものの、それは私に限ったことではない。
ただ、私がここで働き始めて初めての視察では
ちょうど店長たちが店舗の奥にいたために
私は社長をお客さんと間違えて接客してしまったことがあった。
それが、社長にとってはよほどインパクトのあった出来事だったらしい。
視察の度にその時の話を蒸し返されるのだ。
但(タダ)し、社長にとっての『いい思い出』として。
慌てて駆け付けた店長たちにとっては本当に肝が冷える出来事だったらしけど、
当の社長は私の接客が気に入ったようで、当日の視察も何の問題もなく終了した。
それ以来、従業員の間では
私は『社長のお気に入り』ということにされているのだ。
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