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社長はいつも通り秘書を同行させて裏から入店した。
店長が先頭になって社長を出迎え、挨拶をすると
社長はそれに軽く応えて後ろにいる私を見た。
社長と目が合ったところで、口を開いたのは秘書の方だった。
「少しお話があるので、上へよろしいですか?」
一瞬、その言葉が自分に向けられているものなのかどうかわからなかった。
社長は私の斜め前に居る店長に「いいかね?」と短く言っただけで、
店長は「はい……」と答えるしかなかった。
私は社長とその秘書に連れられて、
二階にあるスタッフルームに向かうことになった。
店舗を出る前、
後ろを振り返って首を傾げると、
みんなが鏡のように私と同じ方へ首を傾げていた。
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