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俺の目の前に進んできて、俺の制服のセーターの裾を軽く引いて、俺を見上げる。
「あのね、わたし神木君のこと気になってて……また、話しかけてもいい?わたしね、カッコいい男の子、大好きなんだぁ。ね?いいよね?」
袖の引く力を強められる。
『この私が言うんだから』
あぁ、聞こえた。心の声聞こえた。
醜い、心の声。
俺は、姫路がしたような笑顔をマネて、にっこり笑う。
「遠慮するわ。俺、あんたみたいな女苦手」
途端に、姫路の眉が大きく吊り上がる。
ほら、もう心の声が漏れ始めてる。
『この私の誘いを、断った?』
あぁ、嫌いだよ。あんたみたいな女。
「な、なんで?わたし、何か言った?」
引き攣った笑顔を崩さない姫路。
『私のどこが気に入らないの!?』
醜いな、心の声は。
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