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自分の黒い腕時計をチラリと見ると、16時25分の表示。
確かに、25分遅れていた。
「時間は、守らなきゃダメだよ?神木くーん!」
大人数の核っぽい、オレンジの髪をした奴がそういった途端、ギャハハハハ、と響く不快な音。
あぁ、うるせえ。
と思っていると、オレンジ色がニヤニヤしながら歩いてきた。
「神木クンさぁ、学年トップなんだって?凄いなぁ!俺、憧れるんだ。ユートーセーって奴にさ」
俺の前に来て、話を進める。
「ユートーセーって?何しても許されるんだろぉ?イケメンだしな!」
……こいつは何を言いたいんだろうか。
「俺の彼女がさぁ」
あぁ、その話か。
「神木クンが好きだとよ」
オレンジの顔がどんどん赤くなって行く。
夕日のせいではないだろう。
こんなに天気が悪いんだからな。
「……」
「黙ってねぇでなんとか言えや。ああん?『人の彼女とってすみません』ってよぉ!」
そう言って、突然オレンジが俺の腹めがけて拳を炸裂してきた。
「……?」
それは、虚しくも空を切っただけだったけど。
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