第一章

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自分の黒い腕時計をチラリと見ると、16時25分の表示。 確かに、25分遅れていた。 「時間は、守らなきゃダメだよ?神木くーん!」 大人数の核っぽい、オレンジの髪をした奴がそういった途端、ギャハハハハ、と響く不快な音。 あぁ、うるせえ。 と思っていると、オレンジ色がニヤニヤしながら歩いてきた。 「神木クンさぁ、学年トップなんだって?凄いなぁ!俺、憧れるんだ。ユートーセーって奴にさ」 俺の前に来て、話を進める。 「ユートーセーって?何しても許されるんだろぉ?イケメンだしな!」 ……こいつは何を言いたいんだろうか。 「俺の彼女がさぁ」 あぁ、その話か。 「神木クンが好きだとよ」 オレンジの顔がどんどん赤くなって行く。 夕日のせいではないだろう。 こんなに天気が悪いんだからな。 「……」 「黙ってねぇでなんとか言えや。ああん?『人の彼女とってすみません』ってよぉ!」 そう言って、突然オレンジが俺の腹めがけて拳を炸裂してきた。 「……?」 それは、虚しくも空を切っただけだったけど。
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